Canon カメラ向けの E-TTL II/E-TTL 自動調光に対応したガイドナンバー60のスピードライトです。Canon 互換の光学式と独自の無線式(2.4GHz 帯)ワイヤレスストロボ撮影に対応しています。
製品諸元
- GODOX PHOTO EQUIPMENT CO.,LTD TT685C
- Amazon(LETWING DIGITAL) \13,700.- (税別・2020/10現在)
製品短評
手元にあったCanon スピードライト580EX IIが故障した、と思い込んで、発注しました。結果的に電池の問題だったことがわかり、必要はなくなりましたが、それでも面白かったので記事化しておくことにしました。主に物撮り用ですので、スピードライトの基本機能の評価については本記事では割愛しています。また、入手した背景が背景だけに 580EX II との比較を中心に進めます。予めご了承ください
本体・ケースの質感は、580EX II と変わりありません。なかなか上質です。電池の向きの表示が分かりにくいのですが、よくよく見るとモールドされています。上から⊕⊝⊕⊝です。
バウンスの上下はラッチ式です。ロックボタンはありません。首振りは無段階でぬるっと動きます。設置の自由度の面では、本製品に利があります。
ドットマトリクスの液晶パネルは、モードによってバックライトの色が変わります。ボタンも自照式。ファンクション表示も画面にあり、使い勝手は上々です。とはいえ、細かいところは説明書を読まないとわからないのが、高機能ストロボの致し方がないところ、という感触です。印刷冊子の説明書もしっかり同梱されていて好感が持てます。ただ、いざという時のために、PDF も手元に置いておきたいところです。
ミニスタンドの固定ねじは金属製です。こちらも 580EX II の総プラスチックと比較するとアドバンテージです。
惜しむらくはシューへの固定がねじ式です。クイックシューではありません。ここら辺は設計が古めだからかもしれません。
ソフトデフューザー、カラーフィルター、クロスなどの販売者が添付するおまけ類は、すべて製品の箱の中に入っていました。最初、付属しないのかと思ったほどです。とはいえ、後から入れた分、すこし外箱が太っているようではありました。
ワイヤレスストロボ撮影については、Canon 互換の光学式と独自の無線式(2.4GHz 帯)の方式に対応しており、いずれの方式でもセンダー・レシーバになれます。ニッシンデジタルのAir1やAir10sであらためてシステム構築するほどでもなかった向きにはなかなか魅力的です。
スピードライト製品の選択
Godox はカメラ照明機材を手広く取り扱っている中国 深センの会社で、国内ではケンコープロフェッショナルイメージングの取り扱いのようです。国内サポートを重視する方は、こちらのラインナップにある商品を家電量販店・カメラ専門店で購入されることをお勧めします。スピードライト関連では、V1, V860II, V350, TT350 の各シリーズとトランスミッター・レシーバが展開されています。Amazon ではリセラーが多く、また、ケンコーPIで扱っていない低価格製品・旧製品の取り扱いがあります。ただ、リセラーがそれぞれ個別に商品を出品しているため、同一製品が多数登録されており、検索性は最悪です。リセラーで取り扱っている Godox 製品のラインナップも異なり、微妙におまけも異なり、評価もレビューもバラバラで、同一リセラーで一式そろえようとしても、なかなか難しくなっています。そのため、本記事でもリンクをあまり貼っていません。
Godox のスピードライトは、VシリーズとTTシリーズの2系統が大きくあります。Vシリーズは、専用リチウムインバッテリーを採用し、TTシリーズと比較して2倍以上の撮影枚数、チャージタイムも短め、トランスミッタの到達距離も長めになっています。TTシリーズは、従来通り、単三型ニッケル水素電池またはアルカリ乾電池を4本使用します。V350 と TT350 のような姉妹モデルでは違いはその程度のようです。
Godox のスピードライトは、基本的に独自方式の 2.4GHz 帯ワイヤレスストロボ撮影に対応しています。ただし、V850II, V860II 以前の設計の V850 では対応していないので注意します。メーカー独自の調光方式・光学式ワイヤレスストロボ撮影は、対応したスピードライトが必要になります。TT600 は、汎用スピードライトなので自動調光には対応しません。
Amazon で買えそうな Canon 向けスピードライトをまとめます。参考価格については、Godox 製品は Amazon の実勢価格、Canon 製品は Yodobashi.com の希望小売価格です。Canon 製品は実売との乖離が読み切れませんでした。
G | モデル | GN | 参考価格 | 自動調光 | 無線式(独自) | 無線式(Canon) | 光学式(Canon) | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
- | TT600 | 60 | \8,000.- | × | 〇 | × | × | 汎用・安価 |
G2 | TT350C | 36 | \10,000.- | 〇 | 〇 | × | × | |
G1 | TT685C | 60 | \13,700.- | 〇 | 〇 | × | 〇 | |
G1 | V850IIC | 60 | \17,000.- | 〇 | 〇 | × | 〇 | 専用バッテリーパック VB18 |
G2 | V350C | 36 | \18,600.- | 〇 | 〇 | × | × | 専用バッテリーパック VB20 |
G1 | V860IIC | 60 | \22,000.- | 〇 | 〇 | × | 〇 | 専用バッテリーパック VB18 |
- | スピードライトEL-100 | 26 | \25,080.- | 〇 | × | × | センダー | |
G3 | V1C | N/A | \33,000.- | 〇 | 〇 | × | ? | 専用バッテリーパック VB26 |
- | スピードライト430EX III-RT | 43 | \39,600.- | 〇 | × | 〇 | レシーバー | |
- | スピードライト470EX-AI | 47 | \60,280.- | 〇 | × | 〇 | レシーバー | 自動バウンス |
- | スピードライト600EX II-RT | 60 | \79,200.- | 〇 | × | 〇 | 〇 | 防塵防滴 |
スピードライトトランスミッタ・レシーバ製品の選択
スピードライトトランスミッタは、ワイヤレスストロボ撮影の送信側です。単体、ストロボ内蔵、カメラ内蔵の製品があります。
レシーバは受信側で、ワイヤレスストロボ撮影に対応していないスピードライトと組み合わせて、Godox 独自の無線式(2.4GHz 帯)のトランスミッタからの情報を受信します。システム全体で露光情報を共有するため、各社の調光対応のレシーバがラインナップされています。
ワイヤレスストロボ撮影は、ヒカル小町のようなスレーブストロボとは異なり、システム全体で調光してくれるため、多灯だからといって露出オーバーになることもなく適正な露出で撮影できるるのがメリットです。
Godox 製品では、Amazon で買えそうな Canon 向けの独自方式(2.4GHz 帯)の単体トランスミッタは 3種、Canon 向け単体レシーバ 1種があります。
- 単体トランスミッタ。基本機能は Godox スピードライトで対応可。
- G1, X1T-C TTL Wireless Flash Trigger, \5,000.-
- G3, X2T-C TTL Wireless Flash Trigger, \7,300.-
- G2, Xpro-C TTL Wireless Flash Trigger, \8,300.-
- 単体レシーバ。Godox スピードライトは標準装備。E-TTLII 対応スピードライトに取りつけて Godox ストロボシステムに組み込む。
- G1, X1R-C, \5,000.-
Canon 製品のスピードライトトランスミッタについては、従来からある光学式と無線式(2.4GHz 帯)の二種類があります。
光学式のトランスミッタは、スピードライトトランスミッターST-E2、または、内蔵ストロボワイヤレスセンダー機能を利用します。
無線式(2.4GHz 帯)のトランスミッタは、スピードライトトランスミッター ST-E3-RTを利用します。
蛇足: 今後のアップグレードについて
無線式へのコンバートと1灯追加が予算的にあまり変わらないのが悩ましいところです。
無線式へのコンバートは、機器構成がばらつくので運用も面倒になりそうですし、そもそも 2.4GHz 帯は混雑していて、粗が目につきます。とはいえ、カメラ機器としては格安の投資であり、ガジェットとしては大変魅力的です。また、モデリングライトを含めた Godox 製品のさらなる増設を考えると、光学式はいずれ限界が来ます。
- 現在: 2灯
- 50d +580EX II
- TT685C
- PLAN A: 2灯 無線式(Godox) = \8,300.- + \5,000.-
- 50d + Xpro-C
- X1R-C + 580EX II
- TT685C
- PLAN B: 3灯 光学式 = \13,700.-
- 50d + 580EX II
- TT685C
- TT685C
FAQ
多灯撮影システムを構築するには
簡単に構築するなら Canon 光学式。安価に大規模なシステムを構築するなら Godox 無線式。将来性に賭けるなら Canon 無線式。
- センダーを決める
- レシーバを決める
- 足りないものを買いそろえる
光学式ワイヤレスストロボ撮影を行うには
ファームウェアのバージョンを確認するには
ファームウェアバージョンの確認の手順は、ファームウェアをダウンロードすると同梱されている PDF に書かれています。おおむね次の通りです:
- Switch the flash on - ストロボの電源をオンにします。
- then press the Zm/C.Fn button for 2 seconds and enter C.Fn custom functions - 起動後、画面下左端のボタンを長押しします。
- The firmware update version (e.g. Ver X.X) will be displayed on the LCD panel. - 画面右上にバージョンが表示されます。
開梱直後は V.3.3 でした。
ファームウェアのアップデートをするには
Micro USB B コネクタと PC 本体をつなぐ USB ケーブルが必要です。別途ご用意ください。
- ダウンロードページにアクセスします。
- Godox G1 Firmware Upgrade Software をダウンロードします。
- TT685C のファームウェアをダウンロードします。
- ダウンロードした RAR ファイルを7zip などで展開します。
- Godox G1 Firmware Upgrade Software をインストールします。
- デバイスドライバのインストールを許可します。
- USB でスピードライトを接続します。電源オフのままで大丈夫です。
- Godox G1 Firmware Upgrade Software を起動します。
- 英語に変更します。
- 展開したファームウェアファイル(.fri)を選択します。
- 接続します。
- アップグレードします。あっさり終わります。
- 終了します。
- スピードライトを取り外します。