6000 シリーズの Ryzen 5 プロセッサのミニ PC です。CPU コアアーキテクチャは Zen 3+、GPU は RDNA 2 と、5000 シリーズからかなり進化しています。また、2023 年6月時点で発表されている 7000シリーズも多くが同じアーキテクチャで、まだまだ現役とも言えます。メモリは 64GB まで増設でき、M.2 2280 NVMe SSD、2.5 インチのストレージを換装・増設できます。ただし、2.5 インチのストレージを増設すると、M.2 2280 NVMe SSD がかなり高温になってしまうため、実質利用できないと考えたほうがよいでしょう。
製品諸元
- Amazon 新品 ¥55,040.-
- Beelink直営店※品質保証から購入。
製品仕様
前作の SER5 と比較します。
Features | SER 6 | SER 5 |
---|---|---|
Processor | AMD Ryzen™ 5 6600H Mobile Processor | AMD | AMD Ryzen™ 5 5600H | AMD |
Core | Zen 3+ | Zen 3 |
Chipset | Ryzen SOC / FCH | ← |
GPU | AMD Radeon 660M (RDNA2) | AMD Radeon Graphics (Vega 7) |
Memory | 2x DDR5 SO-DIMM Slots up to 64GB - 2x Crucial DDR5-4800 8GB | 2x DDR4 SO-DIMM Slots up to 64GB - 2x Crucial DDR4-3200 8GB |
Storage | 1x M.2 2280 NVMe SSD (PCIe 4.0 x 4) Slot up to 2TB - Kingstone N/A 512GB | 1x M.2 2280 NVMe SSD (PCIe 3.0 x 4) Slot up to 2TB - Kingstone SNVS500G 512GB |
Storage Expansion | 1x 2.5 inch 7mm SATA SSD/HDD Slot | ← |
TPM | 2.0 (AMD PSP 11.0) | 2.0 (AMD PSP 10.0) |
Wireless Connectivity | 1x M.2 2230 WIFI Slot - Intel Wi-Fi 6 AX200 (160MHz), Bluetooth 5.2 | 1x M.2 2230 WIFI Slot - MediaTek RZ608 WiFi 6E (80MHz supported), Bluetooth 5.2 |
Video Output | ① HDMI, ② Displayport, ③ USB-C | ① HDMI(4K@60Hz) , ② HDMI(4K@--Hz) , ③ USB-C |
Audio Output | HDMI , 1x 3.5mm Audio Jack - Front Headphone OUT | HDMI , Realtek ALC269 HD Audio (1x 3.5mm Audio Jack - Front Headphone OUT) |
Peripherals Interface (Front) | 1x USB4 Type-C Port, 2x USB 3.0 Type-A Port | 1x USB 3.1 Type-C Port, 2x USB 3.0 Type-A Port |
(Back) | 1x RJ45 Realtek Gaming 2.5Gb Ethernet Port, 1x USB 3.0 Type-A Port, 1x USB 2.0 Type-A Port | 1x RJ45 Realtek Gigabit Ethernet Port,1x USB 3.0 Type-A Port, 1x USB 2.0 Type-A Port |
Power | DC 19V/6.32A 120.08W | DC 19V/3A 57W |
System | Microsoft Windows 11 Professional | Microsoft Windows 11 Professional, Microsoft Windows 10 Professional |
Launch Date | Dec ’22 | Jul ’22 |
Product Dimension | 126 × 112 × 42mm | 126 × 113 × 42mm |
Package Dimension | 192 × 124 × 113mm | 213 × 136 × 58mm |
Net Weight | -- kg | -- kg |
Gross Weight | 1.37 kg | 1.03 kg |
Beelink 公式の情報がないため現物で確認した情報も含みます。また、AMD 社は Intel 社 に比べて公開情報が少なくて詳しいことを調べるのが一苦労でした。
SER 6600H 開封短評
パッケージは、SER5 にくらべて倍ほどあります。AC アダプタの大きさのためのようです。
同梱物は、マニュアル、交換用サランネット(赤)、AC アダプタ、HDMI ケーブル長短 2本、ネジセット。上部のネットが金属から、繊維ネットに代わっていて、それが交換できるようになっているということに少し驚きがありました。VESA マウントの添付はありません。
AC アダプタは 19V 6.32A (外径:5.5φ・内径:2.5φ・センタープラス・PSE あり)、真ん中に箱があるタイプです。
筐体は金属のようです。上面はサランネット、左右側面は細かいメッシュになっています。左右両側面のメッシュは、上面の CPU とメモリ・ストレージの双方のエアフローを確保するようになっています。作りに安っぽさはありません。
SER6 本体分解短評
メモリソケット・M.2 2280 スロット・2.5' ベイは、すべてマザーボードの下に用意されていて、底面板を外してアクセスします。
筐体の分解は No.2 + ドライバとペンチを使用します。
まず、底面板を止める4か所のネジを外します。ネジはかなりきつく締められています。基本に忠実に+ドライバをしっかり押し付けて回します。回転だけで緩めようとすると、舐めてしまうので注意してください。ネジを外しても底面板は外れません。
SER5 と同様、ケースや底面板の工作精度がよいため、指のひっかかりがまったくありませんし、かなりかっちりはまっていること、ゴムで張り付いていることなどから、外れる気配が全くありません。シリコン製のタブが追加されているのですが、底面板が外れるまで引っ張ると引きちぎれそうです。
次に、添付のネジセットの中から、適当なネジを 2 本とりだし、底面板に取り付けます。ペンチで引っ張るためのとっかかりにするためです。ネジを取り付けたら、ペンチで底面板を左右少しずつ引っ張ります。初回の分解はかなり渋いです。
SER5 と違い底面板は、内部と何も接続していないのでそのまま取り外してください。取り外すと 2.5 インチベイにアクセスできます。
メモリソケット・M.2 2280 スロットにアクセスするには、ファンを取り外します。3本のねじを外します。ストレージSATA 用フラットケーブルとファンの電源ケーブルでマザーボードと接続しているため、気を付けてとりはずしてください。なお、M.2 2230 スロットは、M.2 2280 スロットの直下にあります。
組み立ては逆手順です。
SER6 ファースト・インプレッション
大きさ・重量感は SER5 とほぼ同じです。
前面は電源ボタン、CMOS リセット穴、USB 3.0 Type-A x 2, Type-C x 1、ヘッドフォンジャック。背面に HDMI、DIsplayPort、USB TYpe-A 3.0 x 1, 2.0 x 1 です。種類も数も少なめで、筐体のコンパクトさと引き換えにかなり割り切った印象です。
UEFI は AMI クラシック。SER5 と比較するとかなり整理されています。TDP は 35W/45W を選択でき、35W が設定されていました。
CPU は Ryzen 5 6600H で、Zen 3+ コアアーキテクチャの TDP 45W ミッドレンジラップトップ向けのプロセッサという位置づけです。GPU も Vega から RDNA 2 ベースに更新されています。
PCIe にぶら下がっている有線 LAN は Realtek Gaming 2.5 GbE、無線 LAN は Intel WiFi 6 AX200。USB にぶら下がってる Bluetooth は無線 LAN と同じく AX200 でした。
OS のプリインストールは Microsoft Windows 11 Pro バージョン 21H2 です。Windows 11 Professional を Microsoft の手順に従い再インストールした際は、Auto-Detect and Install Driver Updates for AMD Radeon™ Series Graphics and Ryzen™ Chipsets と Intel® Driver & Support Assistant を利用することで、不明なドライバはなくなりました。
初回起動時、物理キーボードのレイアウトが英語 101/102 キーボードです。設定の地域と言語にある、日本語のオプションで日本語 106/109 キーボードに変更してください。その設定を終わるまでは、パスワードなど大事なところで記号を入力することを避けるようにするとよいでしょう。インストール時の Microsoft アカウントでのサインイン設定をしないように注意します。
CPU の排熱は、上方吸気・後方上段排気です。排気は後方やや下向きに吹き付けるらしく、HDMI や USB など背面コネクタに挿入されているケーブル・機器類は熱を持ちがちです。
この筐体は、SER5 ではよく冷えていましたが SER6 ではかなり不足しているようです。
CPU の TDP は 45W と変わりませんが、周辺デバイスが、メモリは DDR4-3200 → DDR5-4800、M.2 PCIe 3.0x4 → 4.0x4、NIC は GbE → 2.5 GbE、またフロントの Type-C が 3.0 → 4 と性能と共に消費電力が上昇しています。その結果、ACアダプタが 60W クラスから 120W クラスへと増強されています。実質、発熱量が倍、と考えても差し支えありません。そのため、下段にファンを追加していますが、あまり風量もなく増えた発熱をさばき切れていません。
M.2 2280 は待機時でも 65℃、2.5 インチドライブを追加すると 70℃以上になります。ベンチマークをかけると 90℃程度まで上昇することもあり、サーマルスロットリングが発生します。また、いったん温度が上がってしまうと、電源を切らない限りなかなか下がりません。下段ファンは接触型のヒートシンクも兼ねているのですが、焼け石に水のようです。通常品の SDD の動作保証温度は 70℃ までですので、より高い温度でも動作するゲーミング仕様のものなどを利用するようにしたほうがよいでしょう。また、どうも放熱シリコンパッドが柔らかすぎて放熱を阻害している節があります。少し硬いものに変更するか、いっそないほうが熱がこもらず、良いようです。
初期構成 (2023/6)
メモリは、DDR5 SO-DIMM モジュールに選択肢がありません。Crucial by Micron のモジュールを実装されていることもあり、無理をすることもなかったのですが、UEFI で GPU メモリを最大 8GB まで予約できるようになったこともあり増設することにしました。
ストレージは、中国の景気減退の影響か、春ごろから NVMe SSD の価格が暴落していました。Western Digital WDS200T3X0E-EC はゲーム用ということなのか動作温度の上限が 85 ℃となっていて安心感があります。
Parts | Upgrade | Vendor | Parts No | Price |
---|---|---|---|---|
Base Unit | Beelink | SER6600H | ¥ 55,040.- | |
Memory | 16GB → 64GB | CORSAIR | CMSX64GX5M2A4800C40 | ¥ 28,469.- |
M.2 2280 SSD | 512GB → 2TB | Western Digital | WDS200T3X0E-EC | ¥ 18,869.- |
合計 | ¥102,378.- |