ら・び・あん・ろ~ず

ちょっと古い IT やらガジェットやらのよもやまごとをつぶやきます。

MINISFORUM EliteMini H31 - Pentium Gold G5420/DDR4 8GB/NVMe SSD 128GB+HDD 1TB

最近、家電量販店への流通にも手を広げているMINISFORUM 製のエコノミークラスのベアボーン PC のメモリ・ストレージ組込み済のモデルです。メモリが 64GB まで増設できたり、M.2 2280, M.2 2242, 2.5インチのストレージを換装・増設できたり、場合によっては、CPU も換装できる*1ようで、ミニ PC / NUC の範疇を若干はみ出しています。

製品諸元

製品仕様


www.youtube.com

Features Specifications
Processor Intel® Pentium™ Gold G5420 Processor,2 Cores/4 Threads (4M Cache, up to 3.80 GHz)
Chipset Intel® H310 chipset
GPU Intel® UHD Graphics 610
Memory Kingston DDR4-2400 8GB Single channel (SODIMM Slots×2)
Storage 1x M.2 2280 NVMe SSD Slot - minisforum 128GB PCIe SSD
1x 2.5 inch SATA Slot - WD Blue 1TB HDD (SATA 3.0 6.0Gb/s)
Storage Expansion 1x M.2 2242 SATA SSD Slot (up to 1TB , SATA 3.0 6.0Gb/s)
1x TF Card Slot (up to128GB)
TPM Not surpported
Wireless Connectivity 1x M.2 2230 WIFI Slot - Intel® WIFI6 AX200 (160MHz supported),Bluetooth 5.1
Video Output HDMI(4K@30Hz) , ② Mini DisplayPort(4K@60Hz)
Audio Output HDMI , Mini DisplayPort , Realtek High Definition Audio (3.5mm Audio Jack x 2 - LINE IN/HP OUT)
Peripherals Interface 1x RJ45 Realtek Gigabit Ethernet Port, 4x USB 3.1 Gen.2 Port, 1x TF Card Slot , 1x MIC
Power DC 19V/4.73A 90W (adapter included)
System Microsoft Windows 10 Home 64ビット バージョン 1909
Launch Date July ’20
Product Dimension 154 × 153 × 62mm
Package Dimension 192 × 192 × 160mm
Net Weight 1,083 g
Gross Weight 2.02 kg

EliteMini H31 開封短評

今時のコンパクトな ATX 電源のようなサイズの茶箱で届きます。ミニ PC かと思ったら、それなりにずっしりと重量感がある梱包で少し驚きます。本体は袋に入っており梱包材で挟まれているものの、その下にそれなりに大きい電源と太い電源ケーブル、その他ケーブル類が押し込まれ、最下部に VESA ディスプレイマウントがスポンジで固定されているため、おおむね雑然としています。

同梱物は、マニュアル、AC アダプタ、AC ケーブル(3P-2P)、HDMI ケーフル、DisplayPort ケーブル(ミニ-フル)、VESA ディスプレイマウントアダプタ。

AC アダプタは 19V 4.73A (外径:5.5φ・内径:2.5φ・センタープラス・PSEマークあり)、AC ケーブルはセパレートの中間に箱があるタイプです。90W の電源なのでそれなりに重みがあります。ACアダプタへのAC ケーブルの差し込みは少し渋いです。

筐体は外側がプラスチック、底面が金属です。天板は内部の金属部分と隙間があるようでぺこぺこしています。

EliteMini H31 本体分解短評


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マザーボードの上段は CPU およびヒートシンクにあてられていて、マザーボードで完全に区切られた底面側にメモリスロット、M.2 2280 スロット、M.2 2242 スロット、2.5インチベイが集中しています。そのため、メモリ・ストレージの増設では、底板を外せば済むようになっています。

筐体の分解は No.0 + ドライバ、2.5 インチトレイの取り外しに No.1 + ドライバ、M.2 SSD の取り外しに No.2 + ドライバが必要です。分解は簡単です。

分解に先立って、ヘッドフォンや USB など挿入したデバイスがある場合は、すべて取り外してください。

まず、底面の4本のねじを外します。ねじは抜け止めがあるため、完全には抜けません。背面のコネクタパネルの上部に3本爪があるので、少しこじるようにしてマザーボードを浮かせ、パネルからコネクタを抜いて、底板を抜き取ります。

次に、2.5 インチ HDD を外します。Core i3-9100 モデルでは HDD がマウントされていないので、この作業は必要ありません。2.5インチ HDD のマウントねじは、ドライバがケースに干渉するので、少し回しにくいです。

2.5インチトレイの樹脂パーツを固定する 4本のねじを外すと、メモリが交換できます。DDR4-2400(PC4-19200) 対応です。2枚挿しすると、上段メモリが樹脂パーツに干渉しているようです。

組み立ては逆手順です。

マザーボードを少し浮かせ、爪をひっかけ、コネクタを穴にはめてから、ねじがケースの内側に入るように注意しながら、底板を戻します。

EliteMini H31 ファースト・インプレッション

大きさは弁当箱程度。NUC よりもふた回り以上大きく、1kg というスペック通り、持つとずっしりとしています。ACアダプタも負けず劣らず重量感があります。

前面は電源ボタン、リセット穴、3.5mm オーディオジャック。ヘッドフォンジャックもなければ、USB もない謎の割り切り設計。ミニ PC でリセット穴っていうのは、初めて見ました。左側面にヘッドフォンとマイク端子、ラインイン、TF スロット。ほかの端子は背面です。USB 3.1 Gen 2 は Type A が 4ポートと種類も数も少なめです。

前面と左側面にマイク端子があるのがよくわかりません。PC95 配色の端子は左側面なので、フロントのマクロフォンジャックないし 3.5mm オーディオジャックは、何か別の用途に使えるのかもしれません。そういえば Realtek のオーディオコーデックでは、ジャックの機能を自由にアサインできた記憶があります。

UEFI はクラシック。ベンダーは BESSTAR TECH LIMITED と表示されています。Intel® H310 チップセットIntel® Platform Trust Technology (Intel® PTT) に対応していますが、UEFITPM を有効にする設定がありません。そのため、2021/08 時点では、この PC は Windows 11 に対応できません。

CPU は Pentium Gold ということで、さほど期待はしていなかったのですが、デスクトップ版ということもありそれなりに力があります。ベンチマークを見る限り、ラップトップ版の i5-5257U よりも速く、デスクトップ版の i3-6100 と同じくらいです。DDR4 と NVMe SSD の恩恵はそれなりに大きいです。ただ、Core プロセッサではないため、AVX, AVX2, F16C, FMA3 などの命令セットがありません。それらの命令セットが必要な場合は、中古市場で CPU をあさって換装することになります。

PCIe にぶら下がってる有線LANは Realtek RTL8111、HDオーディオコントローラは Realtek ALC892、USB にぶら下がってるTFカードスロットコントローラも Realtek でした。無線LANIntel Wi-Fi 6 AX200 です。有線LANが Realtek なのは、仕方がないとはいえ、少し残念なところです。

OS は Microsoft Windows 10 Home 64ビット版 バージョン 1909 です。プレーンな構成で、ベンダーのカスタマイズはほぼありません。初期状態がバージョン 1909 ということで、バージョン 21H1 への更新まで少し時間がかかります。Amazon楽天を中心に展開する中華系のベンダーと比較して、パソコン系の流通にのるベンダーは技術更新に対して、少し腰が重い印象があります。良し悪しですね。

起動時、物理キーボードのレイアウトが英語 101/102 キーボードなので、地域と言語の日本語のオプションで日本語 106/109 キーボードに変更してください。その設定を終わるまでは、パスワードなど大事なところで記号を入力することを避けるようにするとよいでしょう。Microsoft Store を開くと、各国の Local Experience Pack がインストールされていることに少し驚きます。これらはコマンドラインからしか削除できないので、あきらめるか、後述の記事を参考に、すべてのユーザと自分自身から削除するようにしてください。

M.2 2280 NVMe 接続 128GB SSD は minisforum 製*2、2.5インチ HDD は WD Blue (WD10SPZX/1TB/7mm厚)でした。HDD はメジャーなメーカー製で安心です。

CPU の冷却は上方吸気、上段左側面排気です。いずれもふさがないように設置には注意してください。ファンはうたい文句通りたいへん静かです。CPU コア温度とストレージの温度は必ずしも連動しないことから、CPU は良く冷却されているようです。また、底面、AC アダプタが熱を持ちます。下段は通気口が少なめで排熱に懸念がありましたが、底板が冷却に一役買っているようです。ファブリックを敷いたりしないように注意したいところです。

ストレージは M.2 2242 スロットが比較的低温で維持されています。アイドル時、M.2 2280 が外気温 +20℃、2.5インチドライブが +25℃に対して、M.2 2242 は外気温 +10℃くらいでした。M.2 2242 で使っている SSD はミニPCで使用していたもので、その際は 外気温 +30℃が当たり前でした。筐体の大きさ、冷却の大切さを実感しました。2.5インチドライブは、確証はありませんが、メモリで加熱されている可能性がありそうです。配置的にコントローラ部がメモリにかかるため、注意が必要です。

なお、MINISFORUM の直販では、i3-9100 モデルが $569.00 $539.00 (2021/8現在)で販売されています。計算してみると G5420 モデルとのパーツレベルの価格差はそこまで大きくありません。物理コア 2個分の性能とセールではないときの価格、Core i3-9100 など今となっては入手性が悪いパーツがある、といったあたりの手間を考えると、この価格差は妥当かな、という印象です。モデル選択のご参考になさってください。

Features パーツ 参考価格
Processor - Pentium Gold G5420 -\10,000.-
+ Core i3-9100 +\15,000.-
Memory + 8GB DDR4 SO-DIMM + \5,000.-
Storage - 128GB NVMe SSD - \3,500.-
- 1TB SATA HDD - \5,000.-
+ 256GB NVMe SSD + \3,500.-
Power - DC 19V/4.73A (90W) - \2,000.-
+ DC 19V/6.3A (120W) + \4,500.-
差額合計 + 7,500 ~

EliteMini H31シリーズ再インストール入門

ストレージを換装したときに必要な、再設定手順を解説します。2021/8 月現在の手順です。システムインストール方法が提供されていて、おおむねその手順の補足です。

  1. 再設定用 USB メモリを作成する PC を用意する
  2. サポートから Windows10_Pro_64bit_ver.1909 (9GB) をダウンロードする
    1. ダウンロードサイトの速度制限で 6時間弱かかりました
  3. 16GB 以上の USB メモリを用意する
  4. USB メモリを NTFS でフォーマットし、ボリュームラベルを WINPE に設定する
    1. USB メモリ直下に images などのフォルダが来るように 7-Zipファームウェアを展開する
    2. USB に直接展開すると遅くなるので、展開後にエクスプローラーで移動をおすすめします
  5. H31 に USB メモリを挿して電源を入れる
  6. F7 を押して、ブートセレクタを表示する
    1. USB メモリ(Windows Recovery)を選択して起動する
  7. 待つ
  8. 処理が終わると勝手に再起動するので、DEL を押して、UEFI を起動する
    1. ほっとくと再びリカバリが始まるので注意
    2. M.2 2280 NVMe SSD を優先して起動するように指定する
    3. Save & Quit する
  9. Windows が起動する
    1. 初期インストールが実行される
      1. キーボードのレイアウトが 101/102 キーボードになるため、Microsoft アカウントへのログインが難しい場合がある。その際は、ネットワークを接続せずに進める。
  10. インストールが終わると 1909
    1. 物理キーボードのレイアウトを 106/109 キーボードに変更する
    2. 気になる場合は、各国の Local Experience Pack を削除する
  11. H31G 用の nVIDIA ドライバを削除する
  12. 再起動する
  13. Windows Update をするなどして、使用を開始する

M.2 2280 NVMe SSD、M.2 2242 SATA SSD、2.5インチ HDD のすべてを接続した状態でリカバリしたところ、M.2 2280 NVMe SSD に展開されました。

初期構成 (2020/8)

CPU を換装するには時期がよくありません。第9世代 Core プロセッサは 6月に受注停止したばかりで、先月くらいにちょうど投げ売られていました。新品は値が吊り上がってますし、Windows 11 にも対応しているため中古に流れてくるにもしばらくかかりそうです。

メモリは半導体不足からくる値上がりが一服してきたところとはいえ、少し高めなので、ほどほどのスペックに整えます。

ストレージは、C ドライブが小さいのはろくなことがありません。どうせ CPU が足を引っ張るし、高性能のモデルは冷却が課題になるので、性能よりサイズ優先です。

Parts Upgrade Vendor Parts No Price
Base Unit MINISFORUM EliteMini H31 ¥40,915.-
Memory 8GB → 32GB Panram W4N2666PS-16G ¥17,518.-
M.2 2280 SSD 128GB → 1TB Crucial CT1000P2SSD8JP ¥11,637.-
System Home → Pro Microsoft Windows 10 Professional ¥14,300.-
合計 ¥84,370.-

ベースモデルの価格を抑えたことで、ひとまずそこそこのコストに収まりました。同様の構成を BTO すると CPU・電源系は良くなるものの、どうしても 15万前後かかりうんざりしていたところでした。

Realtek HD オーディオマネージャ (2021/08)

Realtek HD オーディオには、オーディオジャックを任意の入出力に割り当てたり、マイクやスピーカーにエフェクトをかけたり、多機能な設定ができる GUI があります。H31 をリストアした状態ではこれが有効になっていないようです。RtkNGUI64.exe を直接実行しても起動しないため、Realtek HD オーディオドライバを再インストールするとよいようです。

タスクトレイにオレンジのスピーカーアイコンやコントロールパネルにRealtek HD オーディオマネージャが見当たらない場合は、次の手順でインストールしてください。

  1. フォーラムから H31 Driver.rar をダウンロードする
  2. ダウンロードしたファイルを 7zip などで展開する
  3. Sound\8309_PG463_HDAudio_FF00\Setup.exe を実行する
  4. ドライバをアンインストールするため、再起動する
  5. Sound\8309_PG463_HDAudio_FF00\Setup.exe を再度実行する
  6. 再起動する
  7. コントロールパネルのハードウェアとサウンドRealtek HD オーディオマネージャがあることを確認する

Windows 11 への対応 (2021/12)

TPM を有効にする設定がないため、Windows 11 には対応できません。対応する予定もありません。こういった腰の重さは、自作パーツベンダーというよりは、国内パソコンベンダーに近いものを感じます。

UEFI CMOS Checksum エラー (2023/07)

気が付くと、起動時の UEFI の画面に CMOS Checksum Error が表示されています。デフォルトをロードし、保存してもエラーは消えませんでした。

*1:第8世代または第9世代 core プロセッサに換装できる、とあります。第9世代 Core プロセッサにはいくつかのステッピングがあり、新ステッピングには UEFI ファームウェアの対応が必要です。第9世代 core プロセッサの U0/P0/R0 ステッピングに本機の UEFI ファームウェアが対応しているかわかりません。スライドを見る限り、i7-9700 の画像があり、i7-9700 は R0 ステッピングしかないため、ほかの R0 ステッピングの CPU が動作する可能性はあります。ただ、組込み済のラインナップにあり B0 ステッピングしかない Core i3-9100 が一番確実なようです。VGA カードを実装している H31G であれば、R0 ステッピングに対応しているようですが、そちらは、Core i7-9700"F" / Core i5-9500"F" など GPU を内蔵しない CPU ファミリです。

*2:PHISONチップ PS5013-E13-31搭載。ローエンド NVMe コントローラのようです。

Buffalo WSR-3200AX4S

Buffalo 製 5GHz 4x4 11ax, 2.4GHz 4x4 11ac のスタンダード無線ルーターです。

製品諸元

製品短評

バッファローの無線ルーターのラインナップは若干とっちらかってる感があります。

フラッグシップでもトライバンド対応はありません。スタンダードモデルの WSR-3200AX4S とプレミアムモデルの WSR-5400AX6S を比較すると、プレミアムモデルでは確かに 2.4GHz が 11ax になるものの 4x4 から 2x2 にスペックがダウンしています。11ax で 2.4GHz 帯にも 4x4 をと思うと、フラッグシップの WXR-6000AX12S で、外付けアンテナといういかついスタイルになります。

筐体のデザインとアンテナスペックは、11ac のフラッグシップ WSR-2533DHP3 を、エントリーの WSR-1800AX4S が WSR-1166DHP4 を引き継いでいます。

WSR-1800AX4 では設置方向で電波強度が如実に変わったり、端末をそばにおいても隣戸のアクセスポイントに電波強度が負けたり、ということがありました。それと比較すると WSR-3200AX4S ではわかる程度に電波強度の弱いところが減ります。

エントリーモデルの WSR-1800AX4 とは 2,000円程度の実売価格差で、わかる程度に電波品質の差がある。となると、 WSR-3200AX4S の 2.4GHz 11ac 対応というのをどう考えるかかなり悩ましいところです。プレミアムモデルの WSR-5400AX6S との実売価格差は 3,000円程度。11ax 対応は、端末の対応状況を考えると将来への投資の側面が大きいので、だったら、必要になった時点で買い替えることを前提に、WSR-3200AX4S を選択する動機もあるのではないでしょうか。

チャンネル自動選択

チャンネル自動選択は、スタンダードな機種では起動時のみですが、ハイエンドになると混雑状況をモニタして動的に変更する機種もあります。この機能が接続不良を招くことがあります。

旧型の Amazonバイスなど、一部の海外製デバイスは 5GHz 帯でも W52 にしか対応していません。そのため、W52/W53/W56 の中で自動選択をしたいという動機はそれなりにあるものの、AirStation にはそういう選択肢がありません。Aterm にはあります。

同様に、2.4GHz 帯では 12 チャンネルと 13 チャンネルに対応していない海外製デバイスがあります。そのため、自動選択でそれらのチャンネルを選択されてしまうと、接続不良になるデバイスが出てきます。これについては、回避する方法がないため、Android アプリの WiFi アナライザなどを利用して、手動で固定した方がよいです。

バンドステアリングLite

バンドステアリングLite と2.4GHz 帯のみ対応の端末は、あまり相性が良くないようです。5GHz の電波強度チェックのために 2.4GHz を切断するのか、通信不良が発生し、統計上もエラーパケットが増えました。2.4GHz 帯のみ対応の端末用の SSID を合わせて設定するとよさそうです。

省電力

通常動作・ユーザ定義・スリープの3つを手動でスケジュールできます。ユーザ定義がひとつしかないのであまり細かい設定はできません。ユーザー定義の選択も、無線はオンかオフか、といった雑な設定しかできません。Aterm シリーズと比較しても、もう少し細かく設定できてもよいのでは、と思います。

WSR-3200AX4S ファームウェア 1.10 2021/01/25

アクセスポイント(AP)モードの時、Chrome ブラウザ バージョン 102で設定メニューが正しく表示されないことがあります。その場合は、キャッシュをクリアするなどしてみてください。FireFox バージョン 101 だと表示されました。ルーターモードだと、Chrome ブラウザでも表示されます。

WSR-3200AX4S ファームウェア 1.20 2021/07/07

EasyMesh 対応になるファームウェアです。
アップデート時の注意書きにも書いているのですが、アップデート後、LAN 側 IP アドレスが DHCP 設定になります。固定 IP 設定自体は残ってるので、切り替えればよいです。とはいえ、設定が変わってしまうのは少し焦りました。

その後、通常の無線通信に障害が発生したため、バージョンダウンしました。どう設定を変更しても問題を修正できず、同じ設定でファームウェア 1.10 では特にエラーが発生しないため、ファームウェア 1.20 には何らかの問題があると思われます。リリースノートをよく読むと次のような制限事項がありました。

本商品を2.4GHzの周波数でWi-Fi接続していた場合、インターネットのページによっては、読み込みが遅い、または読み込みが停止することがある問題を、ルーターモードで修正しました。アクセスポイントモードで同現象が発生したときは、申し訳ありませんが、可能な限り5GHzの周波数でWi-Fi接続してお使いください。

同社製他機種の EasyMesh 対応ファームウェアもリリースが延期になりましたし、それらのリリースと前後して修正ファームウェアが出ることを期待したいところです。

EasyMesh コントローラとエージェント

コントローラは AUTO(ルータモード)、エージェントは Manual-WB(中継器モード)での設定となっています。コントローラは Manual-AP(アクセスポイントモード)をサポートしないため、中継器構成からの移行には注意が必要です。

WSR-3200AX4S ファームウェア 1.21 2021/10/18

高速ローミング(802.11r)非対応端末に向けて、既定値の調整があったようです。不具合の修正はありません。問題は修正されていません。

WSR-3200AX4S ファームウェア 1.22 2022/02/26

EasyMeshR2認証の取得とあわせて、不具合の更新があったようです。購入から問題修正まで、10か月かかった計算です。

・本商品のROUTER/AP/WBスイッチを「AP」にして、2.4GHzの周波数で端末とWi-Fi接続していた場合、インターネットのページによっては、読み込みが遅い、または読み込みが停止することがある問題を修正しました。

バージョンアップすると、IP アドレスが DHCP 設定に変更されてしまいます。IP アドレスを固定している方は、注意が必要です。

ファームウェアのバージョンダウン

Buffalo の無線ルータは、ファームウェアのバージョンダウンができます。少し珍しい印象です。
なお、バージョンダウンすると設定はすべて初期化されますので、お気を付けください。

Yamaha RT58i に ssh で接続するには

10年近く前の機材に ssh 接続するときに、なんとなーくはまってしまいがちなところなのでメモしておきます。なんのきなしに RT58i に ssh で接続しようとすると、"error in libcrypto" という、手の打ちようのないメッセージを表示して接続できないことがあります。接続するにはふたつポイントがあります。

ひとつめは、サポートしているキー交換アルゴリズムです。RT58i がサポートしているキー交換アルゴリズムは古くて無効になってしまっているので、追加で有効にします。

ふたつめは、鍵長です。最近の ssh-keygen を、オプションなしで実行すると 2048 ビット長の RSA 鍵ができてしまいます。RT58i は 1024 ビット長の鍵しかサポートしていないようです。かといって、既に使用中の RSA 鍵を作り直すのも面倒なので、 DSA 鍵を 1024ビット長で用意し、それを使うように設定します。

それにしても、そろそろハードウェアを交換しないと、ですねぇ。

キーファイルの確認と作成

$ ssh-keygen -l -f ~/.ssh/id_rsa.pub 
2048 (... snip ...)
$ ssh-keygen -t dsa -b 1024
Generating public/private dsa key pair.
(.. snip ..)

~/.ssh/config ファイル

Host rt58i
  HostName 192.168.1.254
  HostKeyAlgorithms ssh-dss
  KexAlgorithms +diffie-hellman-group1-sha1
  PreferredAuthentications password
  PubkeyAuthentication no

参考文献

www.openssh.com

Intel ネットワークカードについてのあれこれ

ここ最近、Intel NIC について調べることがあったので、メモしておきます。

有線 NIC のドライバについて

Intel NIC は、OS インボックスドライバが早い時期に提供されるので安心感があるのですが、OS インボックスドライバではフル機能が発揮できません。フル機能を利用するためには Intel PROSet Software を使うことになります。この Intel PROSet Software に対応している NIC の一覧をよく見失いがちです。

www.intel.co.jp

Amazon で売られている、サーバから剥いだのかなんだか出どころの怪しく安価なインテルチップの NIC はおおよそ、Intel PROSet Software のサポートから外れています。

また、Intel PROSet Software のバージョンアップでサポート対象外になる場合もあるので注意が必要です。ある日、突然チーミングができなくなったりして驚きます。あと、Microsoft のインボックスドライバなのですが、なぜかハードウェアに実装されていないはずの機能が詳細設定に表示されることがままあって。これはいったいどうしたらよいのでしょう。

有線 NICファームウェアについて

Intel の有線 NIC には、ブート ROM があります。普段は迷惑なだけなので disable にすることが多いのですが、Intel Boot Agent のために Intel NIC を選択する方もいらっしゃるでしょう。また、バージョンアップすると iSCSI に対応したり、機能強化がなされる場合があります。

www.intel.com

このユーティリティ。昔の PCI NIC からオンボード NIC、はては 10G まで、やたらと対応の幅が広いのに CLI です。まあ、使う人を選ぶツールですからよいのですが。サポートされている NIC でしたら、 Intel ProSet Software からフラッシュすることもできます。

無線 NICフォームファクタについて

Intel Wireless NIC は、7xxx シリーズまでは Half Mini PCIe Card (HMC) がリリースされていましたが、以降、スロットにさすタイプは M.2 2230 (NGFF)、はんだ付けするタイプは M.2 2216 になっているようです。

さらに 9xxx シリーズからは、同じコネクタ形状ながら、機能を CPU や チップセットに移した CRF Module になっていて、事実上のその世代の Intel Core CPU 専用品になっています。WiFi 6 では CRF Module 以外、発売されていない雰囲気です。NGFF の E キーは気を付けましょう。

それ以前も、7xxx シリーズと 8xxx シリーズの違いとか、xxx0 シリーズと xxx5 シリーズの違いとか、メーカーの人にしかわからないような違いのラインナップになっていて、実質専用品だったじゃないか、と言われれば、まあそうですね、という話になります。

www.intel.com

そもそも、空中線と無線機をあわせて特定無線設備ではなかったのか、という気もするので、この知識が役に立つのはどんなシチュエーションか、と言われると少し困ります。補修部品の購入の際は間違えないようにしましょう。

よくあるお問合せ|TELEC 一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター

9 技適・認証を取得する際の無線設備の範囲はどこまでですか。
無線設備には、送受信装置の他に、空中線(アンテナ)、電源設備、附属装置等が含まれますので、これら全てを含めたものが対象になります。

Amazon Fire HD 10 タブレット(第11世代) MT8183/3GB/64GB・Fintie 取り外し可能なBluetooth キーボード付きカバー

FireOS 7 搭載の 10.1 インチタブレットです。

製品諸元

製品仕様
Features Fire HD 10 (2021,第11世代) Fire HD 10 (2021,第9世代) Fire HD 8 (2020,第10世代)
Processor MediaTek Kompanio 500 MT8183 MediaTek MT8168
Core 4x ARM Cortex-A73, 4x ARM Cortex-A53 (2.0GHz) ARM Cortex-A53 x 4 (2.0GHz)
Memory 3GB 2GB 3GB
GPU ARM Mali-G72 MP3 (800MHz) ARM Mali-G52 3EE MC1
Display 10.1" 1920x1200 IPS 8" 1280 x 800 IPS
Touch 5-point
Pen N/A
Sensor 加速度,光
Storage 64GB + microSDXC 32GB + microSDXC
Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac
Bluetooth 5.0 LE 4.2 LE 5.0 LE
Port USB-C 2.0 (Data transfer, OTG ?)
OS Fire OS 7 (Android 9)
Widevine CDM L1
Weight 465g 510g 337g
Included Charger
Price 19,980 15,984 7,980

製品短評

Fire タブレットも4台目で、まあ、いつも通り、書くこともないだろうと思っていたのですが、キーボードを付けてみたところ、思いのほかいろいろメモしておきたいことができたので、記事に起こしておきます。

AmazonバイスWi-Fi

Fire タブレットに限らず Amazonバイスを購入前に、知っておいた方がよいのは Fire タブレットWi-Fi のことです。一般的な注意事項ですが、ご存じない方のために書いておきます。

AmazonWi-Fi 情報を保存すると、Fire や Kindle、Echo がその情報を使って接続します。届いたばかりの端末も Wi-Fi に接続してくれる便利な機能なのですが、問題はデバイスのサポートしている Wi-Fi の規格がまちまちだ、ということです。たとえば、5GHz の接続情報を保存すると、2.4GHz にしか対応していないデバイスもその情報を利用しようとして、Wi-Fi から切断されます。 5GHz を利用したいデバイスは、Amazon に情報を保存しないように注意してください。

さらに問題なのは、Amazonバイスは、2.4GHz では 1-12チャネル、5GHz では W52 チャネル(36,40,44,48ch)のみだということです。2.4GHz で 13チャネルを設定されている、また、5GHz では J52・W53・W56チャネルを設定されているアクセスポイントにはつながりません。自動設定のアクセスポイントが、再起動時にすいてるからと 13チャネルを選択してしまうと Amazonバイスが突然つながらなくなったりするわけです。最近の高性能なアクセスポイントは、動作中にチャネル変更をする機種もあるため、注意が必要です。あらかじめアクセスポイントの設定を確認してください。

Fintie Bluetooth Keyboard と FireOS

ハードウェアとしてのキーボードはよくできていると思います。ヒンジがしっかりしているのでキックスタンドの必要がなくクラムシェルのように扱えるのは新鮮です。また、キーのタッチもメンブレン的なぺなぺなした感じでもなく、小気味よくタイプできます。コンパクトキーボードにありがちな変態配列もほどほどで、2段目の数字の段のオフセットが大きいのかミスタイプが多くなりがち、ということ、また、Enter が小さく別のキーを押しがち、ということあたりに不満はないとは言いませんが、まあ、それは変態キーボードだし、と納得できる範囲ではあります。なにより、日本語配列だ、ということはそれらの欠点をカバーしてあまりあります。

その一方で、Windows のように Enter でロック画面が解除できないとか、文節ごとに確定操作が必要になったりとか、とにかく日本語入力のテンポが悪いとか、入力項目にフォーカスが移るたび IME が有効になるとか、こまごまと使いづらいところがあります。フォーカス移動のたびに IME ON の件は、英語キーボードで使っていれば気にならないところですが、日本語キーボードだとかなり使いづらいです。英数入力の項目に移動するたびに IME をオフにする必要があります。文書作成のようなタスクはともかく、通常は英数字で、コメントを書く時だけ日本語を書くコーディングのような作業にはまったく向いていません。ショートカットを確認すると、🔍(検索キー)+スペースキーで入力方法を切り替えれはするものの、ブラウザだとアドレスバーにフォーカスが移動してしまいますし、キーコンビネーションとしてはあまり使い勝手がよくありません。ここまで変な入力制御には今まで出会ったことがありません。酷いの一言です。本当に何とかならなかったのでしょうか。ハードウェアの出来がそこそこ良いだけに、FireOS の不出来が悪目立ちします。IME を提供したオムロンさん、何とかならなかったのでしょうかねぇ……。

キーボードがあると、マウスも欲しくなります。手元に Logicool M557 があったのでペアリングしてみたところ、これがすこぶる快適でした。ホイールのチルトに進む・戻るが割り当てられるため、Android のインターフェースとマッチしてなかなか便利なのです。ただし、中ボタンに反応しなかったり、FireOS のボタンやスイッチなどのウィジェットの中にクリックが反応しないものが混じっていたり、スクロールホイールイベントに対して反応しなかったり妙な反応をしたりして、それがユーザー体験の質をかなり下げています。使えば使うほどに、FireOS がどうしようもない、という印象に傾いていきます。

Amazon のことだから、ユーザ体験の大切なところほど直さないんだろうな*1、という確信のようなものがあります。あまり期待しないようにしながら待つしかできることはないのだろうなぁ、と思っています。

アプリストア

Amazon のアプリストアの品ぞろえは、正直、貧相です。実用品として使いこもうとすればするほど、だめです。Microsoft Office を推してきているから、Android のように Word, Excel, PowerPoint など一式があるのかと思いきや、Office アプリや OneNote アプリなどのいくつかだけがあるようです。いま一番の推しですら、その体たらくです。

Google Play をインストールする方法の解説ページが散見されるのも納得です。その件を含め DMM GAMES や F-Droid などのストアアプリのインストールが許されているのが、Amazon の最後の良心だとうけとっています。

PassMark PerformanceTest Mobile v10.2.1000
Benchmark Fire HD 10 (2021,第11世代) Fire HD 8 (2020,第10世代)
Model Amazon KFTRWI Amazon KFONWI
Baseline BL8055837 BL8055843
System 5336 (+214%) 1700
CPU Tests 2459 (+229%) 748
Memory Tests 12723 (+217%) 4013
Disk Tests 23558 (+16%) 20153
2D Graphics Tests 23811 (+144%) 9772
3D Graphocs Tests 16442 (+54%) 10704

play.google.com

総評

つまるところ、FireOS は 2 in 1 にはまだ早すぎたのです。

とはいえ、値段分は楽しませていただいています。今回は Termux で code-server をインストールして、プログラミングっぽいことをしてみよう、といろいろさわっているところです。毎度、面白いおもちゃをありがとうございます。

*1:2007年に Kindle が発売されて以来、Kindle 自身やコンテンツと端末の管理に根本的な改良が加えられていません。筆者の手元では、今や千冊を越えるライブラリに育っていますが、その本の管理が満足に管理できていません。金にならないところには徹底的に金をかけない、というビジネスに対する Amazon のドライな姿勢が透けて見えます。

ACEPC GK3V - Celeron J4125/DDR4 8GB/SSD 128GB

[asin:B08PNNHLVY:detail]

ACEPC 製のエコノミークラスのミニ PC です。2023 年6月現在、販売元の Web サイトには接続できなくなっています。

ミニ PC 購入ガイド

こちらでは、Amazon で2万円以下クラスの安いミニPCを購入する際の注意点などを、ざっくばらんに解説します。

2万円以下の PC はとにかく安いです。色々削られていることがあります。また、レビュー評価を流用するため、同じ Amazon の製品ページから購入できる製品でも異なる製品をバリエーションのひとつとしてひとつのページにしていることもまま、あります。この製品もレビューを見ると、いくつかのバリエーションがあるようです。また、販売者や販売時期でも添付品の内容が変わるようです。気を付けて購入して下さい。

Celeron でも DDR3 を採用する J3xx や N3xx 世代やそれ以前は mSATA や eMMC をストレージに採用している可能性が高く、DDR4 を採用する世代は M.2 SATA SSD を採用している可能性が高くなります。CPU 性能以上に、周辺での性能の差が大きくなるかもしれません。特に eMMC は、HDD 以上にシーケンシャル読み書きのスループットが低く性能の劣化につながります。

メモリ容量については、2万円以下クラスの安いミニPC のメモリはオンボードで、増設不可です。あまり深く悩むポイントではありません。ラップトップ版 Celeron の最大メモリーサイズである 8GB を搭載していれば◎です。

ark.intel.com

また、ACEPC 製品の話ではないのですが、Intel Ark に記載されている最大メモリーサイズをこえるメモリー容量をサポートしているといっている製品があります。2019年あたりまでのラップトップ版 Celeron はおおむね 8GB までのサポートです。それ以上は、メーカーの上限を超えているので、どうなるのかよくわかりません。DRAM チップや DIMM モジュールの仕様などとあわせて、チャレンジを楽しむ向きには良いと思います。

ストレージの容量にも注意が必要です。換装や増設ができる場合でも、mSATA や ハーフサイズ mSATA、M.2 SATA でも一般的な 2280 ではなく 2242 というサイズの SATA SSD は、現在あまり選択肢が多くありません。性能に大きな差はないのですが、容量単価が 2.5インチ SSD の 2倍程度します。安価なコンピュータの選択肢としてミニ PC を選択する方は気を付けてください。

そのほかにも、2.5インチ SATA ドライブを搭載可能、とあるのに、SATA ケーブルが添付されておらず実質搭載不可の製品もあるので、レビューを注意深く確認しましょう。SATA 信号の方はともかく、マザーボードから SATA 電源を引っ張るのは専用ケーブル以外ではほぼ接続できません。

また、2021年は年初来の半導体価格に上昇伴ってか、中国製 ミニ PC は全体にコスパが悪くなっています。拡張性に目移りするようだったら、例えばこの辺のレンタル・リースアップの SkyLake 世代コンパクトデスクトップの方がねらい目かもしれません。

ACEPC GK3V 開封短評

化粧箱はかみ合わせもよくしっかりしています。テープを切って上蓋を持つとゆっくり落ちていく感じ。内部の緩衝材は薄かったりするものの、隙間もなく好印象です。少し気になるのは箱の ACEPC のロゴがシールであること。eMMC Flash のラベルがあること。裏面のモデルラベルは正しく貼付されています。

同梱物は、保証カード、クイックスタートガイド、AC アダプタ、HDMIケーブル、ディスプレイマウントアダプタ、ねじ類(2種各4本)。SATA ケーブルは内蔵されていました。

保証カードもクイックスタートガイドも英語です。クイックスタートガイドはページ数も多く丁寧なのですが、いかんせん字が小さいのでさておきます。

AC アダプタは 12V 2.5A (外径:5.5φ・内径:2.1φ・センタープラス・PSEマークあり)、ケーブル長は 1m 程度。コンセント直タイプなので、延長ケーブルがあった方が取り回しは良いです。

HDMI ケーブルは、1m未満。AC アダプタと合わせて設置場所を選びます。

ディスプレイマウントアダプタは金属製で、100mm・75mmの穴が開いてるように見えるけれど、どう本体と組み合わせるのかよくわからないです。黒いねじ4本はここに使うのだと思うですけれど、本体のひっかけ穴みたいなのに使うねじはないように見えます。使わないので気にしないことにしましょう。

あわせて 2.5インチ SSD/HDD 固定用のねじも同梱されていて、親切です。

筐体の質感は悪くありませんが、総プラスチックです。メタリックのパーツは、おもちゃのようなメッキです。板厚自体はそれなりに分厚く、ぺなぺなしたところはありません。最近、PC でもこういうプラスチック筐体も多いように見受けられるのですが VCCI のような電波障害対策はどうなってるのだろう、と、ふと、思うことがあります。

上部にある 2.5 インチトレイは、背面のロックスイッチとなりのねじを外して、ロックスイッチをスライドさせふたをはずします。ねじは No.2 +ドライバ ではずせます。ロックねじを外すひと手間に気が付かなかったので、一旦完全に分解してから、やっと構造を理解しました。

ACEPC GK3V 本体分解短評

筐体の分解は少し長めの No.2 + ドライバが1本あれば大丈夫です。分解は難しくありません。ただし、筐体はプラスチック、ねじはテーパーが切られているので、何度も開け閉めするには向きません。組み立て時に力を入れてねじ込むのも、舐める原因になるのでお勧めできません。

分解に先立って、USB など挿入したデバイスがある場合は、すべて取り外してください。

まず、2.5インチスロットカバーを外します。背面のスイッチの隣にある黒いロックねじを完全に抜きます。スイッチをスライドすればふたは簡単に外れます。

2.5インチトレイ金具に、SATA ケーブルがテープで固定してありました。後のことを考えて、テープを外しておきます。

次に、4か所のゴム足を外します。外したゴム足は再利用したいので、クッキングペーパーに貼っておきます。

ゴム足の奥にねじがあります。 No.2 +ドライバ で銀色ねじをはずします。ドライバーが磁化してあると抜き取りやすいです。

ねじをすべて抜いた段階で、上方のメッキパーツが自由に動くようになります。黒いテープで止まっているSATAケーブルをはがし、隙間からかわし、スイッチを最後に抜くようにして外します。

マザーボードは4本のねじでとまっています。上から見たマザーボードは全体黒いシートで覆われています。どちらかというとこの面は裏側で、主要な部品が実装されているわけではなさそうです。USB-C のコネクタのようなものはありますが、用途はわかりません。

この筐体の金型は、流用のようで GK3V のマザーボードはねじ穴があっていません。1本、ワッシャーねじで止まっていて、対角の1本も動きが渋いです。4本とも外します。

これでマザーボードがフリーになります。LAN コネクタなどがある方に引っ掛かりがあるので、それに気を付けてごそごそすると抜けてきます。ただし、アンテナが筐体に張り付いていて、それとライトやサブボードにつながるいくつかのバラの細い配線があるので、切ったりはさんだりしないように気を付けてください。

ここまでくると、やっとマザーボード表面にアクセスできるようになります。M.2 2242 SATA SSD が実装されている以外は、簡単に手を入れれそうな場所はありません。箱に表示のあった eMMC ではなかったようです。eMMC は、M.2 とはコネクタ形状が異なりますし、オンボードだったりします。SSD の型番・サイズとスロット形状からすると、M.2 でよさそうです。

組み立ては逆手順です。マザーボード取り付けの際、配線を挟まないように気を付けてください。

ACEPC GK3V ファースト・インプレッション

HDMI コネクタは、なかなかささりが渋いです。ちょっと力がいりました。そこら辺、メーカー品と比較してはいけないところです。

UEFI を簡単に確認した結果、内蔵 SSD、USB、TF(microSD)、ネットワークから起動ができそうでした。ネットワーク起動に必要なオプション ROM は既定値では無効になっていました。

PCIe にぶら下がってる有線LAN・無線LAN、USB にぶら下がってるTFカードスロットコントローラ・ヘッドセットオーディオは Realtek でした。

オーディオは USB 接続なんですね。Atom PC だと I2C になりそうですが、これが今時、なんでしょう。なお、HDMI のディスプレイオーディオは intel です。

TF カードスロットは、取り外しポリシーは高パフォーマンスを選択できます。書き込みキャッシュポリシーについては、デバイスの書き込みバッファは有効化できませんでした。MicroSDXC カードなので致し方ないと思います。

OS は Microsoft Windows 10 Professional 64ビット版です。プレーンな構成で、ベンダーのカスタマイズはほぼありません。

物理キーボードのレイアウトが英語のままなので、地域と言語の日本語のオプションで日本語 106/109 キーボードに変更してください。変更する手順は、商品ページを参照してください。その設定を終わるまでは、パスワードなど大事なところで記号を入力することを避けるようにするとよいでしょう。

システムの既定の言語、ようこそ画面、新規ユーザの言語もあわせて変更しておくと、日本語 Windows らしくなります。

最初、スリープ時間が 15分程度とかなり短く設定されています。初期は、放置する作業がそれなりに発生するので、長めに設定しておきましょう。パワースキーマは、真ん中が「高パフォーマンス」と表示されているのですが、タスクマネージャーで速度を眺めている限り、中央は「バランス」右端が「高パフォーマンス」のようではあります。

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Windows 電源とスリープ
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温度については、Windows Update の適用などをしていたら、それなりにほかほかしていました。後でつけるから、という理由で上蓋を開けたままでも、暖かかくなっています。ディスクを使う作業以外にも、GPU を使うような作業をすると上がりやすいようです。

接触式の温度計で簡単に計ったら、周辺温度 25 ℃に対して 2.5インチトレイの金具が 42 ℃でした。ふたを閉めたら 50 ℃台は簡単にいきそうです。プラスチック筐体の放熱性の悪さがもろに出ています。SSD の動作温度は 60 ℃程度が限界なので、そこはかとない不安が募ります。ファンは割とアクティブに停止する方向で制御されています。静かでよい反面、温度は上がりやすく排熱は良いとは言えないでしょう。くれぐれも周辺環境にお気を付けください。AV ラックなど密閉環境での運用はかなり不向きでしょう。

内部から見ると CPU 周りの冷却は閉鎖系のヒートシンクと一体型のファンです。底面のファン型の穴から吸気し、左側面の電源ボタンの下あたりのスリットから下方に排気される構造です。M.2 SSD の排熱は特に対策されていません。下方左方向への排気は、内部の空間を通って、マザーボードを挟んで上部にある 2.5 インチベイも加熱します。筐体上面が加熱されるのはそういう理屈でした。下側・左側面は注意してエアフローを確保してください。むしろ上下を反対に設置すると、見た目は良くありませんが、吸気口・排気口から排熱されるためよく冷えます。ディスプレイにマウントする縦型の設置もエアフロー的にはよさそうです。

Intel® Driver & Support Assistant でドライバをディスプレイドライバをアップデートしました。特に問題は起きませんでした。

ディスクは、Hoodisk HDSSLSB-128GB/C32 M.2 2242 SATA 接続 SSD でした。

20H2 への移行まですませて、不要なファイルを削除して 29GBが利用済み、つまり 89GB 程度の空き容量でした。

Hoodisk SSD 128GB CrystalDiskInfo
Hoodisk SSD 128GB CrystalDiskMark

ベンチマークを見る限り、さほど悪い数字に見えません。ただ、細かいファイルを大量にアクセスしたときになにか反応が鈍いような感覚がありました。これについては、個人的な感触なので、ほかの人は気にならない可能性があります。

ACEPC GK シリーズ再インストール入門

ストレージを換装したときに必要な、再設定手順を解説します。2021/5 月現在の手順です。フォーラムのレクチャービデオ (System Installation Tutorial (Remade version).mp4) を見れば、以下の手順を特に読む必要はありません。

  1. 再設定用 USB メモリを作成する PC を用意する
  2. 16GB 以上の USB メモリを用意する
  3. ACEPC フォーラムに登録する
  4. ACEPC MINI PC SUPPORT CENTER の GK series product system and driver download にアクセスする
    1. 再設定用ファームウェア (GK1_2004_Pro_X64_AC-7265_en_de_es_fr_it_ru_zh_20201208.7z) をダウンロードする
    2. GK1 用のドライバ (Gemini Lake_GK1_Driver.7z) をダウンロードする
  5. USB メモリを NTFS でフォーマットし、ボリュームラベルを WINPE に設定する
    1. USB メモリ直下に images などのフォルダが来るように 7-Zipファームウェアを展開する
      1. 展開時点の指定では面倒なので、後でエクスプローラーで移動します
    2. USB メモリに 7-Zip でドライバを展開する
  6. GK3V に USB メモリを挿して電源を入れる
  7. F7 を押して、ブートセレクタを表示する
    1. USB メモリを選択して起動する
  8. 待つ
  9. 再起動しろ、と出たらそのまま再起動する
  10. 念のため、ESC または DEL を押して、UEFI を起動する
    1. ブート順が HDD の方が USB より先になるようにしておく
    2. Save & Quit する
  11. Windows が起動する
    1. 初期インストールが実行される
    2. GK3V の初期インストールと異なり、日本語の選択肢がないので、読める言語を選択する
  12. インストールが終わると 2004
    1. 言語に日本語を追加する
      1. キーボードを追加しても、言語パックがインストールされないので、追加する
      2. 物理キーボードのレイアウトも 106/109 キーボードに変更する
    2. 既定の言語に日本語を選択する
      1. システムの既定の言語を日本語に変更する
      2. ようこそ画面と新規ユーザの言語にコピーする
    3. 英語を削除する
  13. 再起動する
  14. Windows Update をするなどして、使用を開始する

製品ページにもある通り、インターネットにつながっているとアカウントやアップデートで時間がかかるので、ひとまずネットワークなしでセットアップするのはよいアイデアです。

ただし、Microsoft アカウントでログインすると WindowsアクティベーションMicrosoft アカウントでされるようになるため、再セットアップを予定されている方は、Microsoft アカウントにログインするのもありでしょう。

ローカルアカウントを追加してから Microsoft アカウントを連携すると、リモートデスクトップに接続できない・パスワードが間違っていると言われる現象に遭遇しました。その場合、アカウントのセキュリティにて、PIN を作成することで回避できました。2004 のバグかもしれません。

ACEPC GK3V 2.5 インチ SSD への換装

2.5 インチ SSD への換装は、簡単です。2.5インチスロットカバーを外し、トレイの金具を取り外し、SSD をネジ止めし、ケーブルを接続して、トレイをはめ込み、トレイの金具をねじ止めします。

ドライブマウント用のインチねじは、No.0 の +ドライバーです。ラベル面を上にしてマウントします。

トレイ自体は Sandisk Ultra SSD には、少し余裕がありました。軽くねじ込むと沿うような形になりました。

トレイをはめ込む時は、ケーブルをうまく基盤との隙間に押し込んでからでないと、定位置に収まりませんでした。ただ、ケーブルを押し込む余裕自体はあるので、癖をつけてから差し込めば、大きな困難はありません。

金属トレイをプラスチックメタルパーツに止めるときは気を付けてください。ねじが小さい上に、テーパーがきつく、これは無理すると確実に舐めます。

なお、元から内蔵されていた M.2 2242 SATA SSD ははずしました。折角内蔵されていたそれなりの SSD をはずしたのは、はずさないと筐体内が簡単に動作上限温度の 60 ℃を超えそうだったから、というのが理由です。

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Snadisk Ultra 1TB 2.5' SATA SSD
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室温 25 ℃で、しばらく放置したような負荷が低い状況で 44℃。ベンチマークWindows Update など CPU や SSD を酷使する状況で 53℃でした。2.5 インチ SSD は筐体の熱容量のせいか、高負荷時にも比較的安定しました。

ためしに、MicroSDXC カードを Windows Defender でクイックスキャンしたところ、室温 25 ℃で CPU 利用率が 100% 2.2GHz、 CPU コア温度は 95~105 ℃、特にアクセスがないはずの SSD の温度が 44~58℃ と全体にかなり動作上限に近い温度まで近づいていました。安定して高速動作するためによく管理されていると感じますが、室温がより高い場所では気を付けた方がよいでしょう。

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Windows Defender 時 Core Temp
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参考までに、同機種を ATX ケースで利用している場合の温度は 30℃ 以下です。温度が高いことと、SSDの寿命やデータの劣化がどの程度相関するかはわかりません。SMART も正しく報告されているかどうかもわかりませんので、SSD の温度計をどの程度信頼するかには議論の余地はあるかと思います。ただ、大切なデータのためですから、CrystslDiskInfo などで日頃から温度をモニタリングしておくような人手間をかけることは、一考の余地はあるでしょう。

ACEPC GK3V 総評

Microsoft Windows 10 Professional を購入する金額でパソコンが付いてくる、と考えると、文句のつけようのないミニ PC です。パフォーマンスも申し分ありません。Raspberry Pi 4 8GB を買うとなると、AC アダプタと MicroSD カード、ケースで同じような価格帯です。Linux や GPIO にさほど興味がなければ、2万円台のミニ PC はよいものでしょう。中でもこの ACEPC GK3V はコストパフォーマンスに優れた選択肢です。拡張も再セットアップも容易で、ベアボーンとしてみても申し分ありません。ユーザ登録が必要とはいえ、フォーラムでの情報提供も必要十分です。

気になったところといえば、ディスクのアクセスランプがないことと、テストを通じて右側面のパネルが排熱で熱せられがちなことでした。涼しいところに設置するとともに、USB コネクタに直接挿すタイプのデバイスは、ハブや延長ケーブルで場所を移動した方がよいのではないでしょうか。また、電源設定を高性能で長期間運用すると、オーバーヒートでハングアップすることがありました。あまり長時間起動したままにしておく使い方は避けた方がよいでしょう。

Amazon 販売ページ消失 (2021/10)

Amazon.co.jp から ACEPC GK3V の販売ページが消えています。ACEPC 自体もあまり見かけなくなりました。同じようなラインナップの NiPoGi というブランドを見かけます。

こちらは、Windows 11 に対応した UEFI をあらかじめ搭載しているようです。

YouTubeACEPC Mini PC チャネル でも取り扱っていることから、ACEPC と同じ ODM からの OEM 供給、ないし、別ブランドラインなのかもしれません。直販をすると、粗悪品の売り逃げは難しくなりますし、妥当な判断でしょう。

Windows 11 対応 BIOS 配布開始 (2021/10)

Secure Boot に対応する BIOS の配布がフォーラムで始まっています。BIOSスクリーンショットを特定のメールアドレスに送付する必要があります。

M.2. 2242 SSD 読み取り不能 (2021/11)

SSD が読めなくなりました。約半年です。パーツの信頼性はお世辞にも良いとは言えないようです。

マルチホーム環境の Linux Box に対して両方の IP と通信するには

タイトルが難しいです。

現象

Computer Name DMZ (10.1.0.0/24) Client (10.2.0.0/24) Note
gateway 10.1.0.254 10.2.0.254 ルーティング設定済
server 10.1.0.200 10.2.0.200
client N/A 10.2.0.1

マルチホームの Linux Server に対して Client からアクセスをする際、10.2.0.200 にはアクセスできますが、10.1.0.200 に接続できません。

  1. 〇: 10.2.0.1 → 10.2.0.200
  2. ×: 10.2.0.1 → 10.2.0.254 - 10.1.0.254 → 10.1.0.200

Linux Server 側で 10.2.0.200 を無効に ( ifconfig wlan0 down ) すると、アクセスできるようになります。

背景

届いた Raspberry Pi 4 (Raspberry Pi OS 10 Buster aarch64) を DMZ に置きつつ、折角、ふたつ NIC あるしなぁ、と設定したらはまりました。

原因の推定

10.1.0.200 から受信したパケットに対して、10.2.0.200 から応答しようとして、問題が起きていると推測されます。

対処

ポリシーベースルーティングを設定します。

~# ip route add default via 10.1.0.254 dev eth0 table 10100 
~# ip rule add from 10.1.0.200 table 10100 prior 10

ルーティングテーブルには名前を付けることもできます。

~#echo 10100 dmz >> /etc/iproute2/rt_tables
~#ip route add default via 10.1.0.254 dev 10.1.0.200 table dmz
~#ip rule add from 10.1.0.200 table dmz prio 10

トラブル: ポリシーべースルーティングが消えている

永続化は DHCPcd hook なり、Network script なり Network Manager なり、ということのよう。 /lib/dhcpcd/dhcpcd-hooks/90-route.conf に追加して様子を見ることにします。

qiita.com itblog.webdigg.org unix.stackexchange.com

参考文献

unix.stackexchange.com qiita.com